宅建士の通信講座の受講料は安いもので10万円程度から、高いもので20万円以上と実に2倍もの費用差があります。
もちろん高い講座の方が質が良いと考えるのが普通かと思いますが、そう決めつけてしまうとお金をドブに捨ててしまうことになりかねません。
「高いから良い、安いから内容が薄くて悪い」と決めつけず、それぞれの通信講座の特色を理解し、自分に合った講座を見つけていくことが大事です。
ここで言う自分に合った講座とは、もちろん「宅建士に合格できる講座」ということです。
宅建士合格に向けて最短で導いてくれる要素を持った講座が最も費用対効果のある通信講座と言えます。
そこで今回は、受講料比較だけでは決して見えてこない本当の価値を見極めるポイントを厳選して解説していこうと思います。
ポイントその1:学習教材やカリキュラムの内容
提供される学習教材やカリキュラムの規模に比例して受講料も高くなる傾向があります。
学習教材、カリキュラムのチェックポイントを整理すると以下の通りです。
テキスト・問題集
テキスト・問題集は資格学校がオリジナルで用意したテキストを使用するパターンも多くありますし、市販のものを使用する場合もあります。
これは一概にどちらが良いとは言い切れませんが、事前にどのようなテキストを使うのかを閲覧できるという点では、書店などで確認できる分、市販教材を使用する講座の方が安心といえば安心です。
ただ、オリジナル教材でも最近の講座ではホームページ上に数ページ使用テキストの内容が掲載されていたり、資料請求などでサンプルを送ってくれるところも増えてきています。
また、教材が製本(通常はカラー印刷の紙)なのか、PDFなどの電子データでの提供なのかによって価格は結構変わってきます。
これは言うまでもなく製本として提供してくれるところの方がコストがかかるため、受講料は高くなる傾向にあります。
実際に手にとって色々書き込むスタイルを取りたい方であれば、多少金額が上がっても紙媒体のテキストを選択する方がいいでしょうね。
電子データで提供してくれる講座はご家庭のプリンタでデータを印刷するという手もありますが、これもタダではありませんし、ページ数などからおおよそのコストを算出しておく必要があるでしょう。
講義教材動画の内容
通信講座の講義教材は、一般的にテキストの内容を講師が解説したものを動画として提供しているものがほとんどで、最近では提供されるのが当たり前です。
通信講座を受けるに当たって一番メインになる部分ですが、これも提供媒体が何かによって受講料に差が出てきます。
提供媒体としては、DVDやオンラインで視聴・またはダウンロードできる形のものがほとんどで、DVDなど形のあるもので提供される方が受講料は多少高くなります。
ご自身の視聴環境(PC・スマホ)や学習スタイルとマッチしている方法をきっちり選択しましょう。
また、通信講座ではメインになる部分と申し上げましたが、ここにはあまり力を入れていない講座もあります。
「いや、ここに力を使わないでどこに使うんだw」となりそうですが、その分受講料を安くして他と差別化を謀っているようです。
ただ、やはりここは勉強のキモとなるところですし、多少金額が高くなってもご自身が納得する質のものを選ぶのがいいでしょう。
カリキュラム
カリキュラムは大きく分けると初学者用と経験者用の2つに大別でき、もちろん初学者向けのものの方がカリキュラムも多くなるため、金額は高くなります。
まぁこんな事は言うまでもないでしょうが、あなた自身の学習状況とマッチングしているカリキュラムなのかをしっかり把握しておく必要があるでしょう。
宅建士の学習経験者なのに初学者向けのカリキュラムから進めても時間の無駄になる部分はかなり多いでしょうし、金額も高くなるのでいいことはありません。
また、それぞれの通信講座が設定している学習時間がどの程度なのかも受講料を左右しますし、その業界では有名な講師をメインで使っている場合は高額になってしまう傾向にあります。
カリキュラムについても、ご自身の学習スタイルにあったものを選択するようにしましょう。
ポイントその2:サポート・サービス内容
各通信講座にはそれぞれ「ウリ」となる部分がありますが、サポートやサービスに力を入れている講座は非常に多いです。
質問サポートの有無や添削指導、就職・転職サポートまで用意してくれているところもあります。
もちろんサポートは多ければ多いほど魅力的ではありますが、その分、人件費やシステムの維持費が当然かかってくるわけですので、サポート・サービスが多い講座は受講料も自ずと高くなる傾向にあります。
下記に、よく見受けられるサポート・サービスをまとめてみました。
資格学校名 | テキストサンプルの確認 |
質問サポート対応 | 学習を進めていく中で疑問や質問が出てくるかと思いますが、その際に専属の講師が回答してくれるサービスです。質問はE-mailやFAX、電話等形態は様々で、学習の進め方そのものをアドバイスしてくれる通信講座もあったりと非常に重宝します。一人での学習は不安になることも多いので、頼れるサポートサービスと言えるでしょう。 |
法改正情報の共有 | 宅建士は法律の学習もかなりの割合を占めるため、たびたび改定される法律(法改正と言います)には常に注視しておくべきです。そんな法改正の情報は自分ひとりで追っかけるのは無理があるため、共有してテキストの内容を部分的に差し替える等のサポートが必須です。法改正部分の解説動画を別途用意したりセミナーを開いたりする通信講座もあります。 |
オンライン学習システム | 独自のe-ラーニングシステムを備えている講座や資格学校も多く、近年で大きく進化を遂げてきたシステムです。講義の視聴やテキストの閲覧、問題演習にスケジュール管理など、システムを利用して幅広く管理できます。 |
添削指導 | 専属の講師が課題を添削してアドバイス、コメント等を返却してくれるサポートです。通信講座によっては独自の添削課題を用意してくれているところもあり、問題を間違ったまま覚えてしまうというリスクを回避できます。 |
スクーリング聴講制度 | 通学制の講座も開講している資格学校ならではのサポートで、通信講座を受講している生徒でも学校(校舎)での生講義を視聴できるという制度です。一人で自宅で勉強していては決して味わう事ができない臨場感を味わうことが出来ますし、同じ目標を持った仲間と出会えるのも魅力。ただし、追加料金を支払うケースが多いので注意して下さい。 |
サポートメールマガジンの配信 | 試験対策に関するコラムや時期に応じた学習方法を自動配信してくれるサービスです。通勤時間の合間などにボーっと見ておくだけでも意外と記憶に残ったりします。 |
これらのサポート・サービス内容の中で、特に重視して考えておきたいのは「法改正情報の共有」「質問サポート対応」「オンライン学習システム」の3つです。
この3つのサポート・サービスは通信講座で宅建士合格を目指すにあたって非常に重要度の高いものだと思いますので、上手く取捨選択して講座を選んで下さいね。
ポイントその3:資格学校の運営方針
「運営方針??そんなの関係ないんじゃないの?」と思われた方も多いかもしれません。
しかし、実は受講料を大きく左右する部分なんです。
以下のポイントをホームページや取り寄せた資料で比較することによって、運用にかかるコストを大体予測することが可能です。
- 通信講座の広告・宣伝費
- 講師・スタッフの人件費
- 教室・事務所の賃料
- 教材の制作費
広告宣伝は、Web広告や紙媒体での広告両方でよく見かけるようなものなら相当な金額がかかっていることが予想できますし、教室・事務所の個数に比例して賃料も高くなるのは誰でもわかるでしょう。
通信講座と通学講座の両方を運営しているような大手の資格学校であれば、上記の運用コストはかなりのものです。
当然学校側もボランティアじゃないので、それらにかかる費用を回収する必要がありますし、受講料が高めに設定されるというわけです。
大手の資格学校はネットや雑誌で名前をよく見かけたりするので、「聞いたことがあるからいいんだろう」と思い込んでしまいがちですが一概にそうとはいい切れません。
言い変えれば広告の術中にはまっているだけですw
まぁ、だからこそ企業側も高いお金を払ってまで広告を出すんですけどねw
もちろんそういった大手の資格学校が悪いとは言いませんし、実績あるところも多く強みも色々ありますが、近年では通信講座だけに特化した資格学校も多数存在するということを、選ぶ側の私たちは知っておく必要があるかと思います。
これらの学校は大手に対抗するためにどこで勝負をかけてくるかというと、ズバリ「受講価格」です。
大手とは何が一番違うかと言うと、通信講座だけに特化した資格学校は校舎を持つ必要が無いため、建屋の運営費を抑える事が出来ますから、その分リーズナブルな価格で講座を提供する事ができるんです。
もちろん、各校舎毎に講師の配置をする必要もありませんし、少数精鋭というかたちで腕に定評のある有名講師を数名雇い、人件費も抑えながらも質の良い講座を提供できるようにしているわけです。
やっている事や講義の内容は大手とほとんど同じなのに、通信講座特化型の方が受講料が格段に安いと言った現象も起こりえます。
このように、テキストやサポート内容といった表面的な部分だけでなく、上記のような運用コストなどの広い視点で講座を比較してみると、普通に見比べているだけでは見えてこなかった部分も見えてくるので、見比べる際にきっと役に立つでしょう。
ポイントその4:教育訓練給付制度や各種割引
教育訓練給付制度の指定講座であれば、講座修了後に試験の合否に関わらず受講料の最大20%がハローワークから支給されますので、チェックしておきたいところです。
その他にも、特定の条件を満たしていると割引が受けられる通信講座も多数ありますし、損をしないように必ずチェックしておきましょう。
割引制度 | 割引内容 |
再受講割引 | 通信講座を受講して不合格だった場合に、再受講をすることによって割引が適用されます |
受験経験者割引 | 過去に宅建士試験を受験した事がある方を対象に適用されます |
学生割引 | 大学生や専門学校生の方に適用されます |
退職者・離職者割引 | 受講時点で退職、または離職している方を対象に適用されます |
教育訓練給付制度 | 厚生労働大臣指定の教育訓練講座と認定されている通信講座に適用される公的な給付金制度です |
これらの割引制度は常にチェックしておくというのはなかなか難しいので、メールマガジンなどに登録しておくのもひとつの手です。
不定期ではありますが、お得な割引情報が送られてくることもあるので、申し込みをするタイミングも重要になってきます。
1日早く申し込みをしてしまったばかりに、数万円の割引を受け損ねたとなっては死んでも死にきれませんw
このような各種割引は試験が終わってしばらくした後の新規受講者募集のシーズンに多いイメージですが、確証を持って言い切れませんし、なかった時に私のせいになるのも嫌なのであえて断言はしませんw
まぁ、こういった割引制度を上手に活用すれば「費用的に厳しいかなぁ」と思っていた講座も受講する事が可能になるかもしれませんので、検討している講座にどのような割引制度があるのかは最低限確認しておきたいところです。
また、割引制度とは少し意味合いが違いますが、その講座を受けて宅建士試験に合格したらお祝い金やギフト券を進呈してくれる通信講座もあります。
この場合はあくまでも【合格祝い】という意味合いで設けられている制度ですので試験に合格するのが大前提ですが、少なくとも合格のモチベーションのひとつになるでしょうし、魅力的な制度だと言えるでしょう。
通信講座の受講料を比較するポイントまとめ
ここまで通信講座の受講料を比較するときのポイントをいくつかご紹介してきましたが、ようはあなた自身がどこに重きを置いて講座を選ぶかによって、値段の許容範囲が決まってくるかと思います。
「講座内容は微妙だけど、安いからこれにしよう」というような【安さ】だけにフォーカスしてしますと必ず後悔します。
逆に「ここは絶対に外せないポイントだから多少高くてもいい!」というように、自分に必要な部分がしっかり把握できていれば、それに見合う対価としてお金を払うのはいいでしょう。
「宅建士 通信講座」などのキーワードでインターネット検索すると、恐らくかなりの量の講座が出てくるかと思います。
気になる通信講座は公式サイトも確認していくと思いますが、こういったネット上の情報だけでなくパンフレットや資料を一度取り寄せてみることをオススメします。
実際に紙の資料を手にとって見ると思っていたイメージと違ったり、ネットで見ているだけでは手に入らないような情報が記載されていることもあるからです。
本記事でお伝えしたポイント以外にも、あなた流のこだわりポイントがあると思いますので、納得いくまで比較して後悔のない講座選択をして下さいね!