宅建士試験の難易度については、当サイトの「宅建士試験の合格率はどれくらい?過去20年分の試験結果をもとに解説」の記事でもご紹介したように、近年の合格率は15~17%あたりとなっており、決して易しい資格試験とは言いがたいと思います。
しかし、一般的には「宅建士は全然難しくないよ~」という意見も多くあり、実際のところどの情報を信じればいいのか気になるところでしょう。
そこでこの記事では、宅建士試験の難易度が高いのか低いのかを白黒ハッキリさせるべく、他のビジネス系資格と3つのポイントに絞って比較をしてみました。
これから宅建士の勉強をする方にとってはどれほどの難易度なのかを知っておくことによって気構えも変わってくると思いますので、試験対策に取りかかる前にサラッと確認してみて下さい^^
難易度比較その1:
わかりやすく合格率で比較
まずはパッと見ただけでおおよその難易度がわかる合格率で比較してみましょう。
下記は2021年度の各資格試験の合格率です。
資格名 | 合格率(2021年度) |
司法書士 | 5.14% |
不動産鑑定士※1 | 7.90% |
弁理士※2 | 6.13% |
社会保険労務士 | 7.87% |
土地家屋調査士 | 10.47% |
マンション管理士 | 9.89% |
公認会計士 | 9.58% |
宅地建物取引士※3 | 17.67% |
行政書士 | 11.18% |
税理士 | 18.82% |
※1 論文式試験(2次試験)の合格者数 ÷ 短答式試験(1次試験)の受験者数で算出
※2 口述試験(3次試験)の合格者数 ÷ 短答式筆記試験(1次試験)の受験者数で算出
※3 年2回試験(10月実施/12月実施)の合算で算出
この表を見る限りでは、宅建士の合格率は17%ちょっとであり他のビジネス系資格試験の中では比較的合格率が高いことが分かります。
特に司法書士や不動産鑑定士、社労士、弁理士あたりはかなり合格率が低く、宅建士とは約10%近くも合格率に差があります。
ちなみに税理士って超難関なわりに、合格率がそこそこ高いのには理由があって、税理士の場合は科目合格制度があり1科目でも受かってしまえば半永久的にその権利が保有できるので、比較的合格率が高い傾向にあります。
※その分受験者のレベルはすこぶるお高うございます、、
難易度比較その2:
合格に必要な推定勉強時間で比較
次は合格に必要とされる推定の勉強時間で比較してみたいと思います。
資格名 | 合格到達目安勉強時間 |
司法書士 | 約3,000時間 |
公認会計士 | 約3,000時間 |
弁理士 | 約3,000時間 |
不動産鑑定士 | 約2,000時間 |
税理士 | 約2,000時間 |
土地家屋調査士 | 約1,500時間 |
社会保険労務士 | 約1,000時間 |
行政書士 | 約800時間 |
マンション管理士 | 約600時間 |
宅地建物取引士 | 約500時間 |
こうして試験の合格に必要な勉強時間を見てみると、これまた宅建士は群を抜いて少ないことがわかります。
司法書士や公認会計士、弁理士といった”超”がつくほどの難関試験は約3,000時間の学習が必要と言われており、宅建士の約10倍…。
正直、3,000時間と言われても大きな数字過ぎてどれくらいかイメージが湧かなそうなので、勉強期間を1年/半年と仮定した場合の1日あたりの必要な勉強時間で算出してみました。
勉強期間半年 → 1日:16.42時間
こんなもん事実上半年で合格なんて不可能って言ってるようなもんですよねw
勉強期間1年で考えてみても1日8時間以上は勉強しなくてはならない計算になり、それこそ働きながら1年で資格取得を目指すなんてかなり厳しいことがわかります。
単純に9時間拘束の会社で働いていたとして、勉強8時間、通勤1時間、ご飯やお風呂1時間となると…1日の睡眠時間5時間w
まぁ無理とは言いませんが、これを1年間続けるとなると相当な覚悟と信念、あと体力がないと続かないでしょうね。。
何年も受験してそれでもなかなか受からないという方が多いのも、この数字でうなずけるのではないでしょうか。
一方、宅建士の500時間を同じ期間で算出した場合はこんな感じ。
勉強期間半年 → 1日:2.74時間
う~ん…。
正直、司法書士や公認会計士が飛び抜けて勉強時間を要するだけに、これだけ見てると「宅建士なんて誰でも受かるんじゃね?」って思っちゃいそうですねw
実際、勉強を始めてから半年で合格を目指す場合でも全然無理な数字ではないですし、1年後の取得を考える場合では1日あたり1時間半の勉強で充分事足りることになります。
ただ、それでも約500時間の勉強というのは勉強が苦手な方にとっては莫大な数字に思われるでしょう。
他のビジネス系資格がちょっと凄まじ過ぎるので、宅建士がかすんで見えているというのも頭に置いておいた方がいいでしょう。
難易度比較その3:
試験方式、試験範囲(問題数)で比較
最後に試験方式、試験範囲(問題数)で比較してみましょう。
資格名 | 科目別合格制度 | 科目数 | 出題数 |
司法書士 | なし | 11科目 | 72問 |
公認会計士 | あり | 9科目 | 受験科目による |
弁理士 | あり | 7科目 | 60問 |
不動産鑑定士 | あり | 5科目 | 80問 |
税理士 | あり | 11科目 | 受験科目による |
土地家屋調査士 | なし | 5科目 | 33問 |
社会保険労務士 | なし | 10科目 | 78問 |
行政書士 | あり | 8科目 | 60問 |
マンション管理士 | なし | 4科目 | 50問 |
宅地建物取引士 | なし | 4科目 | 50問 |
まず注目したいのが、科目別合格制度があるかどうか。
科目別合格制度とは各科目毎に合格ラインが設定されており、そのボーダーを全ての科目で超えないと合格にはならないという制度です。
極端に言うと、トータルの合格点をゆうに超える得点を取っていても、ある科目が0点だったら不合格になるということです。
これはつまり中学の時の成績がオール3の私みたいな超平均的人間の方が受かりやすいということです。(オール3では無理かw)
まぁ、苦手科目を1つも作れないという事は確かなので、相当難易度が上がることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
その厄介な科目別合格制度が宅建士にはなく、科目数や問題数もご覧いただいた通り他の資格試験よりも少なく設定されているため、合格には比較的たどり着きやすいでしょう。
また、表には記載していませんが弁理士や不動産鑑定士などは1度の試験では結論は出ず、1次試験が終われば2次、2次が終われば3次と数回行われるため、それに伴って合格率も非常に低くなっています。
上記で挙げた2つの資格試験では短答式試験のあとに論文式試験も待ち構えているため、丸暗記だけで受かる試験ではないことがお分かりいただけるかと思います。
一方で宅建士の解答方式はマークシートで四肢択一方式により行われ、記述式の問題がないことからも比較的取り組みやすい試験であることが言えるでしょう。
宅建士試験の難易度まとめ
以上、3つのポイントで比較してみましたが、トータルして見てみると「他のビジネス系資格よりは難易度は易しい」ということが言えるのではないでしょうか。
管理人が判定した難易度はこのようになります。
資格名 | 難易度 |
司法書士 | |
公認会計士 | |
弁理士 | |
不動産鑑定士 | |
税理士 | |
土地家屋調査士 | |
社会保険労務士 | |
行政書士 | |
マンション管理士 | |
宅地建物取引士 |
ただ、他のビジネス系資格の合格率や必要勉強時間がエグ過ぎるのも確かなので、それらと比べると宅建士の難易度がショボく見えるだけというのもあります。
そのため、基礎からキッチリ勉強をして本質の理解と応用力を磨き、問題解答の力を着実につけていくことが大事だと言えると思います。
逆に言えば、中途半端な学習・勉強方法で取り組んでしまうと、専門的な知識も身にならず非常に難しい試験だと感じるでしょう。
ようは自分がしっかり頑張れるかどうかによって感じる難易度が変わるだけなので、表面的な合格率などに踊らされず、自分がするべき事に注力していきましょう!